【インボイス制度】インボイスがいらない取引って?帳簿の備考欄の書き方も解説

2023年10月から開始されたインボイス制度。
課税事業者が仕入税額控除を受けるためには、インボイスという適格請求書の入手が必要になります。

しかし、一部の取引については、インボイスを保存しなくても仕入税額控除が認められるのをご存じでしょうか?
今回はインボイスが不要な取引についてご紹介していきます。

目次

インボイスが不要な取引5つ

インボイス制度が開始されると、課税事業者が仕入税額控除を受けるためには原則的にインボイスを保存する必要があります。
しかし、次の5つの取引については例外的に、インボイスがなくても仕入税額控除を受けることが可能です。

税込3万円未満の公共交通料金

1回の購入金額が税込3万円未満の公共交通機関の料金はインボイス不要です。

例えば、電車代や新幹線代、バス代、フェリー代などです。
ただし、飛行機代は3万円未満であってもインボイスが必要です。

税込3万円未満かどうかは、1回の取引の金額で判断します。例えば、片道2万円の新幹線チケットを買った場合はインボイス不要ですが、往復4万円の新幹線チケットの場合はインボイスが必要です。

税込3万円未満の自動販売機購入

1回の購入金額が税込3万円未満の自動販売機や自動販売サービスでの購入もインボイス不要です。

例えば、飲み物を自動販売機で買った場合や、コインランドリー、証明写真機の使用などです。
ただし、スーパーやコンビニのセルフレジや、コインパーキングなどの精算機は対象外なので注意しましょう。

郵便や貨物サービス

郵便切手のみを対価とする郵便や貨物サービスは料金に関わらずインボイス不要です。

例えば、ポストに投函する手紙や封筒や、レターバックなどです。
ただし、ポストへの投函ではなく窓口に渡す場合はインボイスが必要なので注意しましょう。

簡易インボイスの記載事項を満たした使用時に回収される入場券

簡易インボイスとは、インボイス記載要件のうち、
「税率ごとに区分した対価の額の合計」
「税率ごとに区分した消費税額等」
「交付を受ける事業者の氏名や名称(宛名)」
などを省略したものです。
スーパーや飲食店など顧客数が多い業種に適用が認めれられています。

このような簡易インボイスの要件を満たしている映画館や動物園などの入場券で、使用時に回収されてしまうものは、金額に関わらずインボイスを保存する必要はありません。

従業員に支払う出張旅費、宿泊費、日当、通勤手当など

会社が従業員に支払う出張旅費や宿泊費、日当、通勤手当などはインボイスの保存は不要です。

ただし、会社が従業員に現金を支払うことが必要です。
会社が代わりに新幹線代を払って従業員に切符を渡すような場合には、税込3万円以上であればインボイスの保存が必要なので注意しましょう。

インボイス不要の取引で仕入税額控除が認められるためには、帳簿にインボイス不要の取引のうちどれに該当するのかを記載しておく必要があります。
例えば、新幹線代の場合は「3万円未満の新幹線代」のように帳簿に記載する必要があるので注意しましょう。

インボイス不要な取引の帳簿への記載例

インボイス不要な取引については、帳簿に次の情報を記載しておく必要があります。
インボイス不要であっても、帳簿にこれらの記載がない場合、仕入税額控除が認められないことになります。

会計ソフトに項目がない場合には、摘要欄や備考欄を使いましょう。

取引インボイス不要の条件帳簿への記載
公共交通料金・1回の購入金額が税込3万円未満
・電車代や新幹線代、バス代、フェリー代
※飛行機代はインボイスが必要
・相手方の氏名/名称(例:JR、京急)
・取引年月日(乗車日)
・取引内容(例:乗車区間、乗車券、特急券)
・金額
・インボイス不要区分(例:3万円未満の公共交通料金)
※支払先の住所は記載不要
自動販売機、自動販売サービス・1回の購入金額が税込3万円未満
※スーパーのセルフレジやコインパーキングの精算機はインボイスが必要
・相手方の氏名/名称
・取引年月日(購入日)
・取引内容(例:飲料購入、コインランドリー)
・金額
・インボイス不要区分(例:3万円未満の自動販売機)
・支払先の住所または所在地(例:〇〇市 自販機、〇〇銀行△△支店 ATM)
郵便切手を対価とする郵便サービス・郵便ポストに投函した場合・相手方の氏名/名称(日本郵便)
・取引年月日(投函日)
・取引内容(例:レターパック、〇〇郵送代)
・金額
・インボイス不要区分(例:ポスト投函の郵便)
※支払先の住所は記載不要
入場券・簡易インボイスの記載条件を満たしている入場券で、使用時に回収されるもの・相手方の氏名/名称(〇〇水族館)
・取引年月日(入場日)
・取引内容
・金額
・インボイス不要区分(例:入場券等)
・支払先の住所(例:〇〇市 △△シアター)
出張費、宿泊費、日当、通勤手当会社が従業員に支払うもの・相手方の氏名/名称
・取引年月日(例:出張日)
・取引内容(例:〇〇支店出張、〇〇月通勤手当)
・金額
・インボイス不要区分(例:従業員の出張旅費等)
※支払先の住所は記載不要

まとめ

今回は、インボイスがなくても仕入税額控除が認められる5パターンを紹介しました。

税込3万円未満の公共交通料金や自動販売機については金額基準でインボイスが不要ですし、郵便や回収される入場券や従業員に支払う日当や出張代などは金額に限らずインボイスの保存は必要ありません。

逆に言うと、これらの費用以外は金額が少額でもインボイスの保存が必要になります。

これまでは金額が3万円未満なので請求書を保存していなかった取引も、インボイス制度開始後は保存が必要になるといったケースも増えると思います。

どんな取引の場合に請求書保存が必要になるかどうか、早めにプロセスの整理をしておくことをおすすめします。

免責
記事の内容は投稿時点での税法その他の法令に基づき記載しています。また、理解のしやすさを優先し、厳密ではない解説をしている部分があります。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。

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