インボイス制度で話題になっている消費税。
消費税は商品を買ったら払わないといけない税金ですが、中には消費税がかからないものがあることをご存じでしょうか?
今回は消費税がかからない取引についてご紹介していきたいと思います。
消費税の区分は4種類
消費税には「課税区分」といって、消費税の取り扱い方法が異なる4つの種類があります。
課税取引 ・・・ 消費税が課税される通常の取引
不課税取引・・・ 取引の性質上、そもそも消費税がかからない取引
非課税取引・・・ 本来は課税対象となる取引だが、その取引の性質や社会政策的配慮から課税するのが好ましくない取引
免税取引 ・・・ 課税取引には該当するが、税率が「0%」になる取引
課税取引には消費税がかかりますが、不課税取引、非課税取引、免税取引は消費税がかかりません。
それではこれらの消費税区分について、もう少し具体的にお話ししていきます。
課税取引とは?
課税取引とは10%または8%の消費税が課せられる取引で、消費者が商品やサービスを購入するような取引です。
もう少し厳密には、次の4つの要件をすべて満たす取引です。
① 国内において行うもの(国内取引)であること。
② 事業者が事業として行うものであること。
③ 対価を得て行うものであること。
④ 資産の譲渡、資産の貸付け、役務の提供であること。
これらを満たさない場合には不課税取引になります。
不課税取引とは?
不課税取引は課税取引に該当しないもの、つまり、課税取引の4要件のうち一つでも満たさない取引です。
不課税取引の具体例がこちらです。これらの取引は課税取引の4要件を満たしていないので、不課税取引となります。
不課税取引 | 不課税になる理由 |
---|---|
給料や賃金 | 雇用契約に基づく労働の対価なので、「事業として行うもの」に当てはまらないため。 |
寄付金、祝金、見舞金、補助金や助成金 | 対価として払われるものではないため。 |
無償による試供品や見本品の提供 | 対価の支払いがないため。 |
保険金や共済金 | 資産の譲渡等の対価ではないため。 |
株式の配当金や出資分配金 | 株主や出資者の地位に基づいて支払われるものだから。 |
資産を廃棄したり、盗難や滅失があった場合 | 資産の譲渡等に当たらないため。 |
心身や資産に加えられた損害の発生に伴い受ける損害賠償金 | 対価として支払われるものではないため。 |
非課税取引とは?
消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う取引を課税の対象としているとお話ししました。
しかし、そのような取引であっても、消費に負担を求める税としての性格から課税の対象としてなじまないものや社会政策的配慮から課税しない取引が定められています。これを非課税取引といいます。
非課税取引の具体例はこちらです。
- 土地の譲渡および貸付け
- 有価証券等の譲渡
- 支払手段(現金、小切手、約束手形、暗号資産など)の譲渡
- 預貯金の利子や保険料を対価とする役務の提供等
- 日本郵便株式会社などが行う郵便切手類の譲渡、印紙の売渡し場所における印紙の譲渡および地方公共団体などが行う証紙の譲渡
- 商品券、プリペイドカードなどの物品切手等の譲渡
- 国等が行う一定の事務(登記、登録、特許、免許、許可、検査、検定、試験、証明、公文書の交付など)に係る役務の提供
- 外国為替業務に係る役務の提供
- 社会保険医療の給付等(ただし、美容整形や差額ベッド料金や市販の医薬品の購入は課税取引)
- 介護保険サービスの提供等
- 社会福祉事業等によるサービスの提供等
- 助産
- 火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供
- 一定の身体障害者用物品の譲渡や貸付け等
- 学校教育
- 教科用図書の譲渡
- 住宅の貸付け
免税取引とは?
免税取引とは、その名の通り消費税が免除される取引です。
例えば、商品の輸出や国際輸送、外国にある事業者に対するサービスの提供などで、要は輸出関連の取引です。
免税とされる輸出や輸出類似取引は、課税資産の譲渡等に該当するので、課税取引に含まれます。
でも、一定の要件が満たされる場合に、その売上について消費税が免除されています。
そのため、免税取引は「0%課税」という表現が使われることもあるのです。
したがって、その輸出や輸出類似取引などの免税取引のために行った課税仕入れは、原則として仕入れに係る消費税額を控除することができることとなります。
まとめ
今回は消費税の4区分についてお話ししました。
- 課税取引は、消費税が課される通常の取引
- 不課税取引は、取引の性質上そもそも消費税がかからない取引
- 非課税取引は、本来は課税対象となる取引だが、その取引の性質や社会政策的配慮から課税するのが好ましくない取引
- 免税取引は、課税取引には該当するが、税率が「0%」になる取引
消費税の申告書を作成する際には取引がこの4区分のどれに該当するのかを把握することが重要になります。
ご参考にしてみてください。
免責
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